ハロプロDD soramiの囁き

ハロプロについて、あれこれと思いを綴ります。

アンジュルムにおける、和田彩花卒業の持つ意味とは

 アンジュルム和田彩花が来年、アンジュルムを卒業する旨が、彼女自身の口から、報告された。
 和田彩花は現ハロプロリーダーにして、アンジュルムのリーダーであるという点で、ヲタの間では、次のハロプロ副リーダーや、アンジュルムのリーダーが誰になるのかといった、人事的な関心が高まっているが、それとは別の次元で、このことの持つ意味について考えてみたい。

 

 アンジュルムは、前身のスマイレージ初期の4名体制から、前田憂佳小川紗季の2名が抜けた後、2期メンバー4名が加入し、6名体制になっていた、2014年の年末に、現在名に変わり、それと対応する形で、第3期メンバー3名が加入した。その後、2015年に初期メンバー福田花音が卒業する一方で、第4期として1名、2016に2期メンバーの田村芽美が卒業する一方で、第5期で1名、2017に第6期2名が加入する一方で、3期相川茉穂が卒業、そして2018に唯一残っていた初期メンバーである、和田彩花が来年卒業することを発表、というような経緯をたどったグループである。

 

 初期メンバーが誰もいなくなる形で、グループが継続しているのは、モーニング娘。カントリーガールズ(カントリー娘。改名)の2者である。この2グループの内、カントリーガールズは、グループとしての基本コンセプトが完全に変わってしまっており、名称の変更が、結果として、コンセプトの変化と連動した形となり、歌う曲は引き継いではいても、ほぼ別グループ化したといってよいであろう。
 これについては、カントリー娘。唯一のメンバーであり、現アメリカ在住の、里田まいがスパーバイザーとして、メンバーと初めて出会った映像では、基本コンセプトー芸能活動と農業の連動(田舎の素朴な娘)―は継続する予定であったようだが、実際にグループを率いた、プレイングマネージャーである、嗣永桃子の薫陶とメンバーの適性で、全く異なるコンセプトーしゃべりの芸達者(シテイのおしゃれで口達者なガール)、という方向に、変化した。
 この変化は、恐らくは事務所としても、想定外ではなかっただろうか。しかし、島村嬉唄契約解除後、第2期として、2名の芸達者を加入させたのは、その変化方向を助長するためのはっきりとした目的を持った、目標達成活動の一環であったと考えられる。そして、その芸達者のメンバーを、鍛えてきた嗣永桃子卒業後、新体制として、カントリーガールの初期メンバー1名と2期メンバー2名を、それぞれ、モーニング娘。アンジュルム、juice=juiceに1名ずつ、兼任させるというようなことをしたのは、カントリー5人娘を、更に芸達者にさせるためとともに、このカントリーガールズのコンセプト変化を、ハロプロ全体への変革に利用するためという目的があったからと考えられる。

 

 ところで、モーニング娘。については、初期メンバーが卒業し、誰もいなくなっているどころか、現時点では第9期が最古参となっている状態である。今年20周年ということで、初期メンバーや各時期とのメンバーとの共演が何度も行われているが、モーニング娘。の基本コンセプトである、歌って踊れる、様々な容姿のメンバーの集合体、という路線は変わっていない。もちろん、初期の歌に重点が置かれたグループから、現在のダンスに重点が置かれているグループという、どこに重点を置くかは時代により変わるが、歌とダンスの2本柱、そして様々な好みの者が楽しめる、バラエテイあふれるメンバー構成、という点は変わっていない。(ヲタの一部が、痩せているか、太っているかだけに着目し、痩せている者だけにせよなどと言っているが、これ自体モーニング娘。のコンセプトが分かっていない、単眼思考にすぎない)

 

 さて、ではアンジュルム和田彩花卒業後、どうなるかということであるが、まず、それ以前に改名とグループコンセプトの変化は、やはり対応していたといえるだろう。スマイレージのコンセプトは、日本一スカートの短いアイドル、というものであり、技よりもかわいらしさを前面に押し出すようなものであった。しかし、初期メンバーが2名減り、一方で2期メンバーが入り、初期メンバーが身体的にも精神的にも、技術的にも成長するとともに、2期メンバーもその影響を受けて、技術面が成長するにつれて、当初のコンセプトの維持が困難になってきた。その矛盾が大きくなってきたのは、2013年の後半頃からであろう。
 そして、スマイレージからアンジュルムへのコンセプトの移行が始まったのは、2014年の「ミステリーナイト」からではないかと考えられる。彼女たちが初武道館公演を伝えられたのは、スマイレージからアンジュルムへの改名後、第3期加入後の、2015年の1月のハロコンでの、「ミステリーナイト」の衣装を着けていた時であるというのは、象徴的であろう。
 そして、この2015年の福田花音の卒業が、スマイレージ終焉第1幕の象徴であり、上國料萌衣は、アンジュルムの第2期メンバーであるという位置づけになろう。
 こう考えると、和田彩花の卒業はスマイレージ終焉第2幕の象徴であり、これに引き続くであろう、第2期メンバーの全員卒業をもって、スマイレージの完全な終焉と共に、基本コンセプトが完全にアンジェルム型に移行するということになろう。
 つまり、室田瑞希佐々木莉佳子がリーダーとなり、上國料萌衣笠原桃奈を間に挟み、船木結と川村文乃という芸達者2人に下支えをさせる形が、アンジュルムとしての基本形になると考えられる。


 ではこのアンジェルムの基本コンセプトとは何かということが問題となるが、それは、総合的エンタテイメント性、ではないかと考える。今回の十人十色の公演からも分かるが、モーニング娘。は集団としての総合力に秀でているが、各人の個性は弱めに抑えられている。これは、10期が卒業すればもっと顕著なことになろう。これに対してアンジェルムは各人の個性が強く、能力が高い、そして、その方向性もバラエテイに富んでいる。だから、エンターテイメント性はアンジェルムの方が満足度が高くなるのである。言ってみればモーニング娘。集団主義的な日本人向け、アンジュルムは個性重視な日本人向けというような、住みわけをさせようとしているのではないかと、考える。アンジュルムへの加入が1、2名単位であることが多いのに対して、モーニング娘。が2名以上の大量加入が多いのも、それぞれのグループの在り様と対応しているように思われる。

 

 さて、和田彩花の卒業は、スマイレージの基本コンセプトを終わらせ、アンジュルムのコンセプトへの切り替えをスムーズにさせ始めるための、重要な結節点となろう。そしてこのことは、2014年段階で、ほぼ決まっていた流れではないかと考える。モーニング娘。の継承の仕方とは異なる、今までのグループを終わらせ、新しいグループを立ち上げるという、困難な橋渡し役を務めたのが、和田彩花ということになろう。


 嗣永桃子の果たした役割と共通する点も多いが、彼女は外側から入ってきた存在として、思い切ったことができたが、和田彩花は内側にいて、それを果たすことが求められたという点では、嗣永桃子以上に、茨の道を進まざるを得なかった、ハロプロの中でも稀有な存在であったと、評価できる。