ハロプロDD soramiの囁き

ハロプロについて、あれこれと思いを綴ります。

稲場愛香の活動と事務所の新体制に係る戦略とは

 カントリーガールズを病で卒業した稲場愛香が、昨年、電撃復帰を遂げ、その後、北研のリーダー的な存在になるとともに、様々なテレビ、ラジオ番組にも出演するようになり、今年はハロコンにも出演する等、カントリーガールズ在籍当時よりも、目立った活動をするようになっていることに対して、様々な意見が出ているが、その中で2つ腹立たしいものがある。

 

 1つ目は彼女がカントリーを卒業した理由に対する悪意を伴った解釈であり、2つ目は復帰後の活躍に対しての悪意を伴った解釈である。具体的には、前者に関しては、喘息ではなく妊娠したからではないかというものであったり、嗣永PMとの対立の結果だというものである。そして後者に関しては、アップフロントの役員に気に入られているからとか、何か密約があったからだとか、そもそも喘息が嘘だったからとか、嗣永PMが引退したからだとか、それこそいかに彼女の能力と復帰と活躍を恐れ、足を引っ張ろうとしているのかがよくわかる事例である。

 

 アイドルが人気商売であるとともに、他のアイドルとの間で競い合いがあり、あるアイドルを特別に贔屓している者は、そのアイドルの立場を擁護するために(実はその行為は、結果としてはそのアイドルの価値を下げてしまうわけだが)その地位を奪いそうなアイドルをけなしたり、場合によっては引きずり落そうとする、というのはいつの時代にでもあることであり、またハロプロ内でも普通にあることである。そのアイドルの現実の思いとは無関係に、オタクたちは自分の解釈や認識に従って、アンチ行為を繰り返し、それにより、自分のアイドルを守ろうとする。
 しかし実際は、そのアンチ行為は、自分のアイドルを守るための行為ではない。そのアンチ行為は、それを行っている者が、自分を守るために行っている自己擁護行為に過ぎないのである。残念ながら、アイドルを否定的な出しにしてでしか、自分の存在を主張できないー自己の存在を認めてもらおうとする行為ができないー者はそれなりに多いのである。
 肯定ではなく、否定的な方向でしか、自己主張できないのは、自分が前向きな努力を積み重ねられていないからである。だから努力して前向きに進もうとしている存在の足を引っ張ろうとし、それによってふがいない自分のことを忘れようとする、あるいは、それで足を引っ張ることができればそれこそが自分の力の結果だと、自分を肯定しようとするのである。また、心に影を持つ者は、明るい存在をうらやむだけではなく、その存在自体を汚すことで、自分と同じような存在に変えてしまおうとする。
 いずれにしても否定的なエネルギーは、建設性がなく、とてもむなしいものだが、それが生きる支えになってしまっている残念な者はどんな世界にも一定数存在している。

 

 さて、稲場愛香はアイドルとしての才能に関しては、ハロプロの中でもトップレベルの存在であり、当然、アイドルたちの中でも、尊敬のまなざしと恐れのまなざしで受け止められる存在である。また、同じ女性の立場として、オタク―特に劣等感から自分が共感できるアイドルを贔屓しているオタクーにとっては、自分という存在を否定してくる存在ともなる。だから彼女には、味方よりも敵が増えることになる。能力のある存在が基本的に孤高とならざるを得ないのは、周囲の者がその存在を肯定的に受け止められるほどの器を、本来的に持っていないからである。能力のある孤高の者は、才能が有りかつ孤高の存在であってこそ、初めて互いを肯定的に受け止められるのである。
(このあたりは「ガラスの仮面」の二人のヒロインと周囲の関係性と二人の関係性が、例としてはイメージしやすいだろう)

 だから、稲場愛香に対してアンチ行為を仕掛けて来るのが、彼女に対して劣等感を持つ女性(アイドルも含む)が多いことは否めないだろう。また他のプロダクションからの依頼を受け、経済的な利益を得るために彼女を貶める者ももちろんいるだろう。そして今後も何かと彼女の足を引っ張ろうとしていくであろう。

 

 ハロプロDDとして、彼女の才能をいかに守り、かつ、花を咲かせてゆくのかということを考えた時に、彼女を特定のグループから解放し、ソロで活動させている現状、更に北研のリーダにしていることは、戦略的には正しいと考える。

 

 まずカントリーに戻さない選択が正しい理由は、本人の意思で止む無くカントリーガールズを卒業した以上、元のさやに戻すのは、彼女の決断やグループのその時の思い、更には涙を呑んで彼女の卒業を受け入れたファンの思いを無にしてしまうことになるだけではなく、彼女自身のカントリーに対する申し訳ない想いを、今後もカントリーの活動に於いて引きずらざるを得なくなる結果、カントリー全体のコンセプトの1つである無邪気さが失われ、影が生じ、ぎくしゃくさが生まれてしまう可能性が高いからである。もちろん他のカントリーガールズのメンバーの気質や能力からすれば、それは克服し得るとは思うが、それでもPM卒業にあたっての様々な活動の時に、彼女がいなかったことは、彼女の強い負い目になっているとともに、メンバーの一体感を損なう要素ともなるので、彼女を戻さないことは、グループにとっても、彼女にとっても良い選択だと考える。

 

 次に北研のリーダーにしていることについては、彼女の能力はソロ活動だけにしておくのはもったいない一方で、健康の不安がある以上、ある程度活動場所の制限をつけておくべきだからである。
彼女自身はもっと活動したいと思うだろうし、目先の経済的利益のみを考えれば、北海道を主舞台にするのはもったいないことではある。しかし病が再発した場合、もうハロプロに留まることはできないだろう。それによる損失の大きさを考えた時に、細く長くを選択するのは事務所の戦略として当然のことであろう。無理をすれば、彼女の才能が失われてしまうのであるから。今の活動はどこかのグループに所属しての活動に比べれば、量的には少なく、彼女の心身の負担を考えれば融通も効きやすい。またそれだけ後輩の指導をする時間もでき、将来の指導者としての研鑽もすることができるのである。

 

 今回の新体制の中には、稲場愛香の復帰も当然計算して組み込まれている。特にカントリーの山木、小関、稲場の3人については、独立性を強めることで、彼女たちを、将来、ハロプロのタレントに対する指導者的な立場にするための経験を積ませていると考えるべきであろう。ももちや清水が行ってきたことを、現役の段階から、より組織的に行うための新体制と考えるべきであろう。

 

 そして、この流れで考えれば、一岡と桃姫と高瀬を今回のハロコンで稲場と組ませているのも、その3人を鍛えるとともに、稲場の指導力を高めるための方策と考えるべきだろう。更にはその稲場の姿を通して、一岡のリーダー教育を行っていると考えれば、事務所の戦略の一貫性がよくわかるはずである。決して一岡の新グループを放棄しているわけでも、思い付きで放っているわけでもないのである。