江戸の手毬歌Ⅱーファンの評価と世間の評価のずれー
「℃-uteのメジャー6枚目(通算10枚目)のシングル。2008年7月30日に発売された」とWIKIに書いてあるが、
今の時点において、この曲が℃-uteの歌の中でどういう評価をされているのか、その参考になるのは、℃-uteがシングル曲の全曲披露を行ったコンサートで、この曲だけ1番すら完全に歌ってもらえなかった、という扱いである。
確かにこの歌と「暑中お見舞い申し上げます」の2曲のみ、カバー曲であり、オリジナルではないので、ファンの視点から言えば、評価が低くなるのはやむを得ない。
しか、一方で、2012年の「神聖なるアルバム」では、愛理のソロで、ロック風にアレンジされた形で再録されており、わざわざ撮り直しをされた数曲のうちの1つであるという点で、プロダクション側としては、それなりの思い入れのある曲であることは確かであろう。
実際この曲は、五木ひろしという同じプロダクションの中での大御所の曲ー本来は演歌ーを、つんくがわざわざ依頼して、カバーさせてもらった曲でもあるという、非常に異色な面を持っているのである。
更に、この曲は作詞大賞やレコード大賞という権威ある賞において、優秀曲として評価されており、ファンと世間の評価が大きくずれている曲の最たるものだと思う。
私がこの曲において高く評価している点は3つある。
1つ目は歌詞である。吉岡治の作詞であるが、江戸の名物、江戸時代の故事を数え歌として、リズムよく並べており、現代の子供たちの遊びの中で、消えかかっている手毬や手毬唄を、蘇らせようとする、文化的かつ教育的な意図が込められており、
小学校の総合的な学習の時間において、実際に昔の手毬歌と共にこの歌を教えて、手毬唄や手毬唄遊びを継承していくべきだと考える。
2つ目はリズムである。WIKIにも書いてある通り、「現代風にアレンジしたブギウギ風の曲として」昔ながらの手毬歌のリズムを生かしつつも、現代風のしゃれた感じも含まれており、不易流行が意識されている。
3つ目はダンスである。ダンスには歌舞伎や日本舞踊的な所作が多く取り込まれていて、通常のアイドル曲のダンスとは大きく異なっている。和洋折衷というか、こういう難しいダンスを可能にしたのは、彼女たちの高いダンス能力であろう。この和洋折衷さは衣装にも表れている。
以上から私は、この曲に、日本と西洋、前近代と現代、をコラボさせ、新しい文化を創り出そうとする、プロデューサーとしての、つんくの意欲的な挑戦心と遊び心を感じる。
ちなみに、私がハロプロDDとなる、一番最初のきっかけとなったのは、この曲のMVを、古典の授業で使う材料を探している際に偶然、見つけたことである。この曲によって、私のアイドルの音楽への評価は大きく変わった。
本格的にハロプロにはまったのは、第2、第3のきっかけのせいであるが、この「江戸の手毬唄Ⅱ」こそ、私をハロプロに誘導してくれた、印象深い曲である。
歌詞と動画は以下で参照できます。